慰謝料について
離婚慰謝料の性質
1 相手方の有責不法な行為によって離婚せざる負えない状況になった時、その精神的苦痛について慰謝料請求が認められる。
2 離婚に伴う慰謝料は下記に分けられます。
①個別の侵害行為:(暴力、不貞行為などから生じる精神的苦痛の慰謝料)
②離婚そのものによる精神的苦痛の慰謝料
判例では①と②を区分しているものもありますが、区分せず一括して認定しているものが圧倒的に多いのが現状です。
慰謝料と財産分与の関係
慰謝料と財産分与とは性質が異なり、財産分与後に慰謝料を請求することも可能です。
財産分与に損害賠償の要素を含めることができます。つまり慰謝料をなしにして、財産分与の割合で調整することも可能です。
しかし、調整した額が精神的苦痛を慰謝するには足りないと認められるときは、財産分与を得ていても別途慰謝料を請求することができます。
慰謝料額の算定
慰謝料額の算定について、考慮事項は下記になります。
①相手の有責行為の内容程度
②請求者の受けた苦痛、婚姻継続への態度
③相手の資産、収入、社会的地位
④請求者の職業、資産、収入
⑤財産分与の有無
⑥未成熟子の有無
一般的には、婚姻期間又は同居期間が長いほど高くなると言われております。
慰謝料請求権の消滅時効
離婚そのものによる慰謝料については、離婚時から消滅時効が進行します。
個別慰謝料については、損害及び加害者を知った時から時効が進行します。
時効は損害及び加害者を知った時から3年となります。
しかし、夫婦の一方が他方に対して有する権利については、婚姻の解消時から6カ月を経過するまでの間は、時効は完成しません(民法159条)